"allure 12月号(2018)" ギョンス インタビュー訳


ディオ、又はド・ギョンス。どちらだろうと関係ないがどの名前でいる時でも彼は終始一貫している。ラジオであろうがバラエティであろうが、インタビューを受けている時でさえも他のアーティストとは違って常に整然としていて慎み深い姿勢なのだ。つまり、彼は情熱を心の奥底に秘めておいて、ステージや演技のように自分の仕事をこなす時にのみ見せようとしているようである。そのため彼のステージングや演技は爆発的な力を持っている。だが、そのド・ギョンスが少し変わりつつある。

いつだって学ぶ姿勢で、新人俳優の謙虚さから はにかみながら話していたその声には一層力強さが感じられ、本当に面白い映画ですと自信を持って言う姿にためらいは無い。常にもの静かであったド・ギョンスを変えたのはやはり作品で。<スウィングキッズ>。カン・ヒョンチョル監督の新作であるこの作品と自身が演じたロ・ギスについて話すたびに、世界で一番素敵な友達に出会えたかのような明るい表情をして、軽快にタップダンスを披露してくれた。体が先に動き出すのだろうか?タッタッという音が俳優ド・ギョンスの心臓の鼓動かの如く感じられた。






_ちょうど2年ぶりに。また12月号でお会いすることができました。この時期になると心が晴れやかになる人や気持ちがうきうきしている人が多いですが、どちらのタイプですか?

ギョンス:僕はそういうのは感じないですね。今年もあと少しで終わるなぁ…と思うよりも普段通りに忙しく過ごしていたらいつも気づいたときには次の年が訪れてました(笑)



_今回も俳優としてお会いしましたが、これまでの期間に色々と変化はありましたか?

ギョンス:2年間…<兄>の撮影をして、その次に<神と共に>を撮って、EXOとしての活動もしながらコンサートもやってました。ほんとに休む暇なく走ってきたんだなという感じです。演技をするにあたって必要なスキルを習ったり、現場のノウハウも吸収してきましたし。体調を整える方法も会得しました。



_目を閉じればすぐに眠れるといったような事ですか?

ギョンス:そうです!今回初めて連ドラの撮影をしましたが映画の撮影スケジュールとは全く違ったんですよね。あの現場に慣れようとビタミン剤をしっかり飲んで、時間を合わせながら睡眠をとったりしました。当時はほんと横になるだけで眠ってましたね。その環境に慣れたからなのかドラマが終わって撮影が無いという事にとても違和感がありました。しばらくは何かを学んでいないと気が済まない感じがしてて。今はもう元に戻ってぐっすり寝ています。



_信じられないですよ…つい二日前には<Tempo>でEXOとしてカムバックしたなんて…

ギョンス:ハハッ!まあカムバックしてからはあまり寝れてないですが。


_いつも年末は忙しそうですね。今年はEXOが約400日ぶりにカムバックして、<スウィングキッズ>もあと少しで公開ということで特別な年末になりそうですね。

ギョンス:僕にとっては本当に特別な瞬間になりそうです。<百日の郎君様>では予想もしていなかった良い結果が出てすごく感謝していますしとても幸せです。EXOとしてもまた素晴らしい結果を残せましたし。<スウィングキッズ>はこれからどうなるか分からないですが十分に楽しんでもらえると思います。



_お~!いつもシビアに感じるくらい謙虚な方だけど自信があるみたいですね?

ギョンス:<スウィングキッズ>に関しては自信があります。これまでの作品では少し闇の部分を持ったキャラクターを演じてきたとすれば、今回の"ロ・ギス"は僕の一味違った一面を見てもらえる作品になっています。素晴らしい演技ができたとかではなく、ほんとにすごく楽しんで撮影できたんですよ。観ている方たちにもそういった明るいエネルギーを感じてもらえるのではないかと思っています。



_EXOのカムバックも<スウィングキッズ>も突然出てきたかのようでその裏では長い準備期間がありますよね。撮影初日のことは覚えていますか?

ギョンス:6ヶ月間の撮影でしたが、初日はヨシ草原での撮影でした。ギスがギドンという人物とふざけ合っている幸せで穏やかなシーンでした。初日は簡単な撮影で終わりました。ワンテイクで、だだっ広い画から始まりヨシ草原から出てくるところまでを撮影しましたが、約一時間くらいであっという間に終わったので嬉しかったです(笑)ソウルに戻ったときには夜になってましたが。



_<スウィングキッズ>には、ド・ギョンスのどんな部分を揺さぶられましたか?

ギョンス:理事長が先に本を読まれていたんですよ。いつも一緒にシナリオを読むんですけど。これは絶対に読むべきだよと言われて読んでみましたが、シナリオがとても気に入りました。初めて監督にお会いした時、「心臓を震わせるような映画を作るぞ」とおっしゃっていて。実際そんな風に感じられたんですよね。文章を読んだだけなのに僕の胸が"ドキドキ"し始めてワクワクが止まらなくて。体の中から湧き上がるエネルギーのように強烈なシナリオでした。キャラクター自体も演じてみたかったし、シナリオの起承転結が半端なかったです。





_タップダンスがメインで登場する映画だと知られていますよね。こういった映画をダンス映画と呼ぶそうで?

ギョンス:ダンス映画ともいえるでしょう。それに加えて人々の物語でもあります。とても多様な要素が込められていると思います。ミュージカル的な要素もあるし、その裏では胸がドキドキする要素もあったりして、すべてが一体となって完成された映画です。



_個人的にはどういったメッセージを感じられましたか?

ギョンス:「生きていく上で何が最も大切なのか。最も大切なのは何なのか」という質問を投げかけるんですが、これが見事に伝わってきましたね。



_アイドルとして活動しながら色んなパフォーマンスを披露されてきました。ボーカルラインだけどダンスもセンス良く踊るメンバーの一人ですよね。キャラクターを呑み込むのもより簡単だったのでは?

ギョンス:そう思っていたけどダンスは正反対でした。なぜならタップダンスは元々ジャンルが違うんですよ。これまで身につけてきたリズム感やカウントなどが助けにはなっても、タップダンスでは僕も完全にヘタクソでした。僕はタップダンスを踊りとは思わず楽器だと考えるんですね。それは、こうして(地面を踏みながら)床を足で叩くことから踊りとは関連がなかったんです。まさに楽器を初めて習う感覚でしたよ。



_さっきムービー撮影のときでもそうだったけど足を踏み鳴らすときの表情がとても楽しそうに見えますね。

ギョンス:初めて習うときってこればっかり繰り返すんです。(床を左右の足で交互に叩きつけながら)タッ!タッ!タッ!タッ!。ルーティーンが何個かあって、一つのルーティーンを作ってそれだけを練習するんです。足で一定のリズムを刻みたくてもそう上手くはいかないもので。手はよく使っても足はあまり使わないじゃないですか。足でリズムを作るということが一番難しかったですね。タップダンスって足に集中していると上半身が置き去りになるんです。人によってそれぞれ特有の体勢があるんだけどある人は足に集中していると上半身が固定されてしまったり、僕の場合は両方の手が下向きに曲がったままになっちゃってました。上半身を上手く使えなくて苦労しました。足の動きをこなせるようになれば徐々に上半身も自然に動くんだけどそうなるまでにはかなりの時間がかかりますね。



_出来るようになった時の喜びもひとしおでしょうね。

ギョンス:はい。練習を続けていればいつか出来るようになります。また長所があって。昔パフォーマンスの合間に足を挫いたことがあったりして足首の状態があまり良くなかったけど、タップダンスには足首のリハビリで使う動きに似た動作が多いんですよ。今回の<Tempo>の振り付けは難易度が高いんだけど、足首を痛めることが一度もありませんでした。タップダンスのおかげだと思います。減量もしないといけなかったんだけどタップダンスは有酸素運動でもあるので自然と体重も落ちたし、ほかにも脱北された北朝鮮語の先生に北朝鮮のイントネーションを習ったりもしました。



_ギスが感じ取ったタップダンスの解放感をそのまま感じられたようですね。

ギョンス:タップダンスの何が良いって、音楽がなくても足でリズムを作りながら明かりを全部消して一人で練習をしている時のその音がとても魅力的なんです。普段じっとしてると足を鳴らすのが癖になりました。



_人物の感情にはどんな風に迫りましたか?

ギョンス:役柄に共感できるようたくさん努力しました。現場で共演者の方たちと触れあいながら自然と入り込んでいくんだと思います。他の人物と交わしたエネルギーが自然とその役を理解させてくれるからできるだけ現場に溶け込もうとします。ギス自体が好奇心旺盛で正義感のあるキャラクターなのでそういったところに集中したかったし、共演者の方と監督の目を見ながら演じるようにしていました。兄に対しての感情には特に悩みましたね。僕にも3歳年上の兄がいるけど、兄のためならなりふり構わないような弟なんですよね。兄のことで辛い思いをして、兄のことで感じられる色んな感情は簡単ではなかったです。



_現場の雰囲気にひっぱられるタイプですか?

ギョンス:ものすごく。僕は現場で影響を受けるスタイルです。



_カン・ヒョンチョル監督が大切にしている子だと噂を聞きました。

ギョンス:ははっ…!監督とは本当に楽しく作品を作りました。カン・ヒョンチョル監督はディテール細かく丁寧にディレクションをしてくれる方ですが、多くの言葉を交わさなくとも通じることがたくさんありました。「これはこうしてみるか?」と言われてもスッと理解ができました。おんなじ気持ちを抱くことも多々あって、意見が大きく分かれることはなかったですね。



_あなたにとってカン・ヒョンチョル監督とは?

ギョンス:とっても繊細な方です。僕がお会いしてきた監督の中で一番繊細だと思います。キム・ヨンファ監督(<神と共に>)もすごく細やかな方でしたが。会話なく撮影が進んでいきましたね。カン・ヒョンチョル監督は感情・行動ひとつひとつを説明してくれて、思いもしなかったことを細かく伝えてくれます。現場ではお互いに頼っていましたね。



_<兄>ではツートップでしたが今回は一本の映画を背負う単独主演ですよね。この点については負担もありますか?

ギョンス:周りの方々がよく助けてくれました。監督、ジョンセヒョン、キム・ミノさん、ヘスもそうだしほんとうにたくさん傍で力になってくれました。このメンバーじゃなければ大変だったはずです。



_大衆にこの映画が知られたきっかけといえばヘアスタイルでしたよね。「ディオが坊主になったのは映画のためである」と。そしてまたあっという間に髪が伸びましたね。

ギョンス:ロ・ギスは捕虜なので坊主は絶対でした。思いとどまることもなく丸刈りにしましたね。あと、いつも自分で剃ってました。そのほうが楽だったし、3日経てば伸びてきて撮影にも支障が出るので剃らないといけないから常にバリカンを持ち歩いて自らやってました。



_初のヘアスタイリストがいらない映画だったんですね!

ギョンス:そうですね。でもすごく楽でした。正直いまでも坊主にしたいんですよね(笑) 短いほうが頭を洗うときも楽だし、あの時がすごく楽だったのでまた剃りたくなってます。





_いつも物静かですよね?EXOのコンサートを観に行ったことがあるんですがその時もそうでした。全く違う人格のディオになるのではなくて、その変わらなさが印象的でした。

ギョンス:ほんとに来ました?ハハッ まあそうならざるを得ないといいますか、コメントなどを言うときって他のメンバーがよく喋るので僕は自然と静かになってしまうんですよね。普段からそんなに喋る性格でもないので。



_でも今回の役柄がハイテンションだというじゃないですか。そのモードを維持してみるのはどうですか?

ギョンス:めちゃくちゃハイテンションですよ!だけど、僕の中にもそんな一面が少しはあります。友達や仲良い人たちと居ると僕もふとそんな一面が出たりするんですよ。そういうのもあって、むしろ演じるのがすごく痛快で楽しかったです。ストレス発散にもなって。俳優って自分とは違う人物を演じて違う人生を生きてみる職業じゃないですか。それって経験するほどに本当に魅力を感じられます。



_これまで演じてきた中でどのキャラクターとして生きるのが一番楽しかったですか?新人俳優の頃から魅力あふれる役柄をされてきましたよね。<カート>のテヨン役を始めとしてです。

ギョンス:ロ・ギスです!なりふり構わずやりたいことを全てやるロ・ギスが僕にとって最高のキャラクターです。ロ・ギスに出会うまではハン・ガンウ<大丈夫、愛だ>でした。このようなキャラクター達に出会うのは簡単なことではないのに、本当に運が良かったみたいです。



_最近では、ドラマ<百日の郎君様>がとても好成績でしたよね。俳優ドギョンスとウォンドゥクのファンがたくさん増えました。

ギョンス:ハハッ…まだ実感はないですが。ドラマが終わってからも練習のために、練習室に通って活動をしているからか今は実感するきっかけというのがまだないですね。一人二役もそうだし、共演者の方たちみんながおもしろくて現場では笑いが絶えませんでした。



_「나만 불편한가?(ナマン プルピョナンガ?)」という名台詞がありましたが、ふだん居心地が悪いと感じるのはいつですか?例えば、いつも挨拶をするときに「礼儀正しいEXOになります」と言っていますが無礼であるのが居心地が悪いのでしょうか?

ギョンス:無礼なのが嫌いというよりは、周りに迷惑をかけることを嫌う性格なので礼儀を重んじています。例えば、メンバーと一緒に住んでいますが共有の場であるリビングに洗濯物をほったらかしにしたままなどそういった些細なことでも僕は嫌いなんです。お互いに配慮しあうのを好みます。



_もしかしてEXOの小言担当ですか?

ギョンス:僕は小言ばっかり言ってますよ。(笑) メンバーにもそうだし、知人にも言います。



_山積みなったシナリオから一つを選ぶとしたらどれにしますか?

ギョンス:僕はメッセージ性があって、人間味あるヒューマニズムにとても惹かれるんです。映画を観るときもそうです。最近観た<ファースト・マン>という映画もほんとに素晴らしかったです。



_俳優として成長したなと感じるのはいつですか?

ギョンス:現場で緊張せずにいられる自分を発見したときです。演技をやり始めた時はひたすら緊張してたんです。そのせいでせっかく憶えたセリフを忘れることがあったり、たくさん準備したのに撮影が始まれば頭が真っ白になったこともあるし。もちろん最近でもたまにそういったことはあるけど、当時は確実に緊張のしすぎで起こっていました。今はひたすらに楽しいです。現場で成長できることが大きいですね。今の僕はそう考えています。



_いつも新人俳優のような姿勢で謙遜されますが、実際はベテラン芸能人でありアーティストでいらっしゃいますよね。今も胸をトキめかせる事はありますか?

ギョンス:仕事。僕は無条件に仕事を選びます。仕事で胸がドキドキすることが多いです。近しい人たちと一緒に仕事をしながらケンカをしたり悲しんだり嬉しかったりすることがたくさんあるんですよね。そういった感情を感じながら生きています。



_試写会に3人だけ招待できるとしたら誰を招待したいですか?

ギョンス:家族・理事長・それからEXOのメンバーには絶対に来てもらいたいです。3席だけじゃ足りないです。観客と同じように映画に対するメッセージに共感してもらえたら嬉しいですね。メンバーが良い映画だったと言ってくれたらそれは言葉では表すことのできない幸福感だと思います。



_お互いの活動について助言をしたりしますか?

ギョンス:そうですね。最近だとジョンデ(チェン)が歌うOSTで僕にデモを聴かせてくれたんですよ。すごくピッタリの曲だと思ったから歌って欲しいとお願いをして最終的にジョンデが歌ってくれたけど、曲がとても良いんですよね。そういう話をよくします。メンバーの個人活動について色々と話すほうです。



_ミュージシャンとしてはどんな夢を描いていますか?

ギョンス:いつかは僕がやりたい音楽をしたいなと思ったりもします。僕も歌が好きなので、いつになるかは分からないけど僕自身が作詞作曲をして作った曲を歌って皆さんに聴いてもらいたいなと思います。曲も一つの作品じゃないですか。いつか僕のストーリーを聴いてもらいたいですね。



_どんなストーリーになりそうですか?

ギョンス:音楽って幸せな時にも憂鬱な時にも聴くものだから。歌詞とメロディーに癒されるような曲。リラックスして聴ける曲だといいですね。



_EXOのアルバムにはミディアムテンポの隠れた名曲が多いですよね。そういう曲であなたの声が耳にスッと入ってきます。ソロ曲にも興味はありますか?

ギョンス:EXOのウィンターアルバムや、ミディアムテンポでしっとり歌う曲たちはほんとに良いものが多いですよね!ソロ曲に対する興味はあります。コンサートで一人で歌ったりすることもあるけど。今はアルバム活動をしないといけないし、映画の宣伝もしないといけないので余裕ができれば挑戦してみたいです。



_昨年<兄>で青龍映画際の新人賞を受賞されましたが、EXOとして多くの賞を受賞されてきたのとはまた一味違ったと思いますがどうでしたか?

ギョンス:違いましたよ。一度きりしか貰えない賞なので、受賞したときは時が止まったような感じになりました。今でもしっかり記憶に残っています。あの日はコンサートがあったので出席はできませんでしたが、コンサートが終わりに近づいてエンディングの挨拶を話していた時でした。イヤモニから「速報です」と、「ディオが青龍映画際で新人賞を受賞しました」という知らせが聞こえてきて、ほんとに信じられずボーっとしました。その場で受賞の感想を述べましたが、とても思い出深く記憶に残っています。



_<スウィングキッズ>の俳優として一番緊張するのはどの瞬間だと思いますか?

ギョンス:試写会ですね。映画を愛する方たちが作品を観て評価をする日です。公開前、一番に作品を観てもらえる日でもあるし、映画を観るのが好きな方たちなのでどんな評価になるか気になります。その日が一番緊張しますね。



_観客に混じってこっそり映画を観たことはありますか?

ギョンス:まだないです。今回の<スウィングキッズ>が公開されたら一回やってみないと。すっかり忘れてました。



_どこの映画館に行きますか?観客のみなさんに、周りに帽子を深くかぶった人がいないかチェックしてもらわないと。

ギョンス:ハハッ!近場のコエックスに行くんじゃないですかね?



_今年最後の日に自分に言ってあげたいことがあるなら?

ギョンス:「体調に気をつけてよく頑張ったな。これからも体調に気をつけて頑張ろうな。」これだけで十分だと思います。



_いつも12月になるとお会いできますが、他の季節に会うとすればいつがいいですか?

ギョンス:5月。3月4月5月は春だけど4月まではまだ寒いじゃないですか(笑) なので5月。温かみのあるカラーがとっても素敵だと思います。




〔訳:xiu0348

-宇宙からやって来たひとたちのお言葉記録-

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