"SINGLES 12月号(2015)" シウミン ベッキョン インタビュー訳



― 撮影の二日前、EXOは日本で京セラドーム公演を終えた。日本で正式にデビューした後、3週連続で日本を沸かせている。福岡・東京・大阪あわせてなんと30万人を動員した。デビューシングルもやはり1位を記録した。EXOだから当然の結果だろうって?だがシウミンの考えは違った。『期待はしたが予想はできませんでした。EXOというグループを日本に広めることができるだけでも成功だと思って淡々とステージをこなしました。』EXOは日本でいくつかの記録を打ち立てた。これまでの海外アーティスト日本デビューシングル史上最多売り上げの記録を塗り替えただけでなく、デビュー後、ドーム公演を最短で開催した男性グループとなった。デビューから3年4ヶ月のことだ。『デビュー当時あるインタビューで、記録を打ち立てるグループになりたいですと話したことがあります。正規1、2集アルバムの100万枚販売(1集の100万枚販売はじつに12年ぶりの大記録である)、それから今回の日本デビューで打ち立てた数々の記録を思うとすごく驚きです。僕の願いがまんま叶っているということじゃないですか!』小学6年生の時に自分の名前で”百万人のファンがいる”というあいうえお作文を作ったことがあるベッキョンが未だに信じられないといった表情で話す。(このあいうえお作文全文はベッキョンのインスタグラムで確認できる。)


忙しいスケジュール、早朝から始まる撮影に疲れているのかと思いきや大きな声と共に90度の挨拶をしながら並んで入ってきたシウミンとベッキョン。二人の顔は明るかった。ベッキョンは例のあの明るい笑顔を浮かべながらスタッフにいたずらをする。歌を口ずさみスタッフにくっつきながら撮影試案を確認する姿はまるで友達と数ヶ月ぶりに会えた時のような雰囲気だ。(実際は昨日も一昨日も数ヶ月の間うんざりするほど会っていたスタッフ達である。)シウミンが先に服を着替える。20人余りのスタッフで混み合う撮影現場で服を脱いでいるが、鍛えられ整った筋肉が目に入る。『朝から運動してきました。』ベッキョンがシウミンの筋肉をボタンを押すかのように触る。まさにEXOのいたずらっ子である。遊んでとねだる末っ子のようなベッキョンのいたずらにシウミンはホホっと笑う。『ベッキョンは本当に楽しい弟です。皆を楽しませてくれます。いたずらされて気分が悪くなったことは一度もありません。むしろ最近ではベッキョンが静かにしてるとなぜか寂しくなったりします。』互いに飼いならされたとはまさにこういう時に使う表現ではないだろうか?


アイドルグループにとってファンは大切な存在だ。EXOにとっても同じである。EXOのファンには”EXO-L”という特別な名前がある。『LはKとMの間にあるアルファベットです。(EXOはEXO-KとEXO-Mに分かれており韓国と中国で同時に活動する)Lが中心にあり、僕たちが守るべき存在という意味です。』ついさっきまでイタズラに夢中だったベッキョンが突然落ち着いたトーンで話す。TVで…いや、撮影現場の扉を開けた瞬間から感じていた”真面目で完璧な子”という一面がみえた。『EXO-L無しにEXOが存在できるでしょうか?僕達が打ち立てた記録もやはりファンのおかげでしょう。”EXOファンの誇り”を強く感じます。』アイドルにとってファンとはどんな存在なのだろうか。アイドルにならなければ決して知ることはできないだろうがこれだけは確かだった。彼らは今まさに恋愛をスタートさせソワソワしている男の子のように、インタビューをしているあいだ隙さえあればEXO-Lの話しをしていた。”we are one!(僕達は一つだ)”というEXOの決意が以前とは少し違って聞こえ始めた。―






  #シウミン


_<ドジョンに惚れる>で演技活動をスタートさせた。演技に対する関心はいつからあった?

シウミン:デビューした時は自分が演技までするとは思っていなかった。EXOのメンバーとしてステージに上がることだけで十分だったし、ステージ上で魅せられることも多いと思った。だが出演オファーを受けたときは迷ってるヒマさえもったいなかった。いきなり飛びついたというわけだ。



_大胆だね。さらには演技のデビュー作で選んだのが時代劇というではないか。

シウミン:幼い頃から時代劇が好きだった。両親と一緒に並んで座り、ドラマ<推奴>を興味津々に観た記憶を今でも思い出す。現場で経験した時代劇はやはりとても面白かった。髪を結って韓服を着て生活することはこの先あるのか。古い家具に藁の家など慣れない風景で作られたセットも不思議だった。暑い夏、山の中に篭って撮影しなければならず大変なときもあったが、しんどいという思いは無かった。



_本当に?本当にしんどくなかった?

シウミン:演技は誰にでもできる事ではなかった。むやみに飛びつくのは良くない。俳優はやっぱり俳優だ。自分のキャラクターを表現するためには集中力など必要とするものが多い。動線やカメラテクニックなど学ぶことも多い。神経質な人は演技が上手だと言うよね?それくらい考えなければいけないことや神経を使わなければいけないことが多かった。同じカメラにしても扱い方が違う。歌手はカメラを見ながら歌をうたう。しかし演技をするときは逆だ。カメラを意識してはいけない。だが、僕は3年以上もEXOとして活動してきたのだ。自分でも知らないうちに目がカメラの赤いランプを追ってしまう(笑)たくさん怒られた。



_演技をするとき横にはメンバーがいない。一人で解決することも多いはず。

シウミン:EXOとして活動しながら最も良い点は、多才なメンバーたちの間で、僕一人くらいの穴埋めが十分に出来るという事だ。言葉を発さなくとも他のメンバーが十分に笑わせてくれるし、僕の一発芸がちょっとアレでも他のメンバーがもっと素敵な姿を見せてくれる。だから個人活動をするときは負担が大きい。頼れるメンバーが居ないからだ。個人活動は責任感も大きい。僕一人でミスしたことが最終的にはEXO全体の傷になるかもしれない。全てにおいて本当に慎重である。だからなのか…一人で撮影現場に行くたびメンバーへの恋しさがどんどん大きくなっていく(笑)



_だからといって演技をしないということではないだろう?

シウミン:映画<キムソンダル>とウェブドラマ<ドジョンに惚れる>たった2作品を終えただけだが徐々に演技の楽しさを感じている。初めてだからか怒られることが多かったけど、演技という新しい分野に挑戦して得た楽しさに比べれば何てこと無い。演技の旨味を知ったというべきか…もっと味見をしてみたくなった。



_演技の旨味を知ったなら演技に対する欲がもっと出てきそうだ

シウミン:欲はある。だけど僕はじつに現実的なタイプだ。僕の状況を客観的にみたとき、強欲すぎると感じるほどの欲は出さない。幼い頃から両親に『何でもやりすぎるのは良くない』ということを沢山教わった。ところで演技には時間と心の余裕が必要だ。もちろんチャンスがあるなら逃したくは無い。作品を通して感じた物足りなさも満たしているところだ。



_しっかりと準備してきた挑戦者の心構えを感じました。

シウミン:執着心も無ければ欲も無いほうだ。だからといって挑戦を怠っているわけではない。挑戦と欲は違う。したいことの為に努力する事は挑戦だ。欲は現実に対する問題だ。EXOの活動に加え、時間がないのに映画やドラマに出たいと思うならそれは明らかに欲だ。現実的に不可能なスケジュールではないか?僕は自分ができる事と出来ないことをしっかり区別するタイプだ。



_ファンはシウミンを色んな愛称で呼ぶ。ネコ・ハムスター・レッサーパンダ・リス…どうも全てが動物だ。

シウミン:そういった声を聞いて思うが、ほとんどの動物に僕の顔が当てはまる。特にネコとハムスターは自分でも本当に似ていると思う。普段はハムスター寄りだが、濃いメイクをするとネコ顔になる。鏡を見ながらそんな自分の姿が不思議でもある。



_ネコとハムスターは天敵の関係らしい

シウミン:自分の顔に込められた二面性がたまに気に入ったりもする。僕の才能と魅力もそれくらい多様性があることを願う。最近、歌を上手く歌えるようになりたいとよく思う。時間ができるたびに多様なジャンルの曲を聴きながら口ずさんでいる。口ずさむということが結局は練習になる。



_時間に余裕ができれば何をする?

シウミン:運動をする。唯一のストレス解消法だ。一日二時間ずつは必ず運動をする。海外に行っても眠れなければ運動をする。ジムが閉まっているなら、ベットに寝転び映画を観たり歌を聴いたりする。これといって特別なことはしない。



_あまりにも退屈な暮らしじゃないですか?

シウミン:そうですか?う~ん…たまにメンバー達と美味しいものを食べに行ったりもする。食べるのが好きだから(笑)とはいっても休憩時間が沢山あるわけではない。余裕があるなら練習をしなければならない。準備のできていない状態では不安だから。ダンス・歌・演技、全てに言える。レッスンを受ける時間が作られないなら、移動中に頭の中で演技や振り付けをひたすら思い浮かべながらイメージトレーニングをする。



_”正しい生活”をし過ぎなのでは?正しい生活マンとしてライブでファンに名言を教えてあげているの?

シウ:喋るとき慎重になる一面がある。自分の思っている意図とは違う形で伝わり、傷つけてしまうかもしれないからだ。だからライブやインタビューではあまり喋らない。そうするとファン達は心寂しくなるみたい。それで思いついた方法だ。両親とご飯を食べに行った食堂に名言がいっぱい貼られていたんだ。そこでこのアイデアが生まれた。



_その名言はどこで得たの?

シウ:その食堂で。メモしてきたものがまだ沢山残ってる(笑)名言集をネットで探して得たものもある。準備しながらも自らの心に響いた言葉も沢山あった。この名言がファン達だけのチカラになるのではなく、名言を読みながらやはり僕のチカラにもなった。



_今日も撮影が終われば運動しに行くの?

シウ:ここに来る前に運動をしてきた。今日は少し休む。アイドルだが若い歳でもないのでたまにはお休みも必要だ(笑)






  #ベッキョン



_おめでとう。100万人のファンがいるベッキョン、幼い頃の夢を叶えたね!

ベッキョン:夢を叶えたという事自体がまだ夢みたいだ。練習生生活を始めたとき、デビューしたときも実感が湧かなかった。今も同じである。まだまだ先は長いからだと思う。いま新たに描く夢がある。EXOのメンバー達と長く活動していたいし、次のステップに進みたい。次のステップが何なのかは自分でもよく分からない(笑)



_次のステップが分からなかったらダメでしょう

ベッキョン:ただ何事も一生懸命にする。それから全てを上手くこなしていきたい。ほんとに漠然としてるね(笑)



_一番自信があることは何?

ベッキョン:当然、歌だ。EXOのメンバーになることができたのも歌のおかげだ。幼い頃に聴いた2000年代前半のバラード曲は今歌っても自信がある。だけどまだまだだ。優しいR&Bの曲はギョンス兄みたいには消化できない。



_それ以外でメンバーの才能を羨ましく思うことはないの?

ベッキョン:(悩んだ末にハッキリと)無い。皆それぞれ自分なりの個性があるから。あ!身長はもうちょっと伸びてほしいなと思う(笑)



_カイの瞬間移動の能力は羨ましくないの?

ベッキョン:ハハッ。メンバー全員が欲しいと思っている超能力だ。瞬間移動の能力があれば1~2時間かかる距離を一瞬で移動できるからね。それほど惜しい時間を睡眠に使えたらどれだけ良いだろうか。



_海外に行くと時差ボケが辛くないか?

ベッキョン:僕は時差で困った事はない。日が昇れば起きて日が沈めば寝る。しっかり眠ればコンディションが良い。活動をしていると眠ることが一番大変だ。”ウルロン”のMVを撮ったときは2~3日まともに寝られなかった。最近も、早朝に撮影がある時はしっかり寝ることができない。実際僕は本当に顔がよく浮腫む体質だ。ぐっすり寝てしまえば顔がパンパンに浮腫む。



_忙しい中、去年はミュージカル<SINGIN' IN THE RAIN>の公演もあった。

ベッキョン:恥ずかしい。もう一度<SINGIN' IN THE RAIN>の公演ができる機会があればなと思う。当時、大変だったけど本当に楽しかった。おかげで演技に対する面白みを感じることができた。他の人の人生を生きるということに魅力があった。僕が経験できなかった…いや、この先も経験することが出来ないであろうことをステージの上で代理満足できるからである。



_しんどい時、チカラとなるものは何?

ベッキョン:ベタな話だがファンの歓声を聞くとチカラが出る。エナジードリンクよりも効き目がある。副作用もない。ステージに上がるとそれまでの疲れが一気に吹き飛ぶ。だがステージを下りるとまた疲れがやってくる。



_頼れる人はいないの?

ベッキョン:スホ兄とミンソク兄だ。特にEXOのリーダーであるスホ兄はよく悩みを聞いてくれる。真剣に聞いてくれて、真剣に話をしてくれる。ミンソク兄は、あれをしようかこれをしようかと迷っているときに呼ぶ。最終的には自分の思うように進めるタイプだが。それでも度々ミンソク兄の意見が必要なときがある。



_どうやってストレス解消してる?

ベッキョン:悩んでるヒマもないほど運動をする。それか、車の中で大声で叫ぶ。それから何も考えずにゲームに没頭してみたり。宿舎にいる時は主にパソコンゲームをしている。普通の同い年の男たちと変わらない。



_「サンナムジャ(男の中の漢)」な性格だが意外にも愛嬌が多いと聞いた。

ベッキョン:そうらしいが自分ではよく分からない。なぜならムリして愛嬌を振りまいているのではないからだ。幼い頃からお母さんがお父さんに愛嬌を振りまく姿をみて育った。沢山の愛を貰ってきたおかげで自然と愛嬌が出るみたいだ(笑)



_シウミンをはじめ他のメンバーとよく気が合うみたいだ。

ベッキョン:僕が練習生として入った時ヒョン達が僕をみて面白い奴だといった。普通、練習生になると最初は何も出来ずに静かにしているらしいが、僕は本当に休む暇なく喋っていたから。そうしてヒョン達や周りの人は僕の事が気になったみたい。おかげで皆とはすぐに仲良くなれたと思う。僕はどこに行っても怯むタイプではない。



_スランプを経験したことはないの?

ベッキョン:”MAMA”の活動を終えて”Wolf”でカムバックするまでに1年の空白期間があった。そのときにスランプがやってきた。活動真っ只中じゃなくて本当によかった。比較的短い練習生期間の後すぐにデビューしたからあっというまに壁にぶつかった。だからその1年の間、練習生に劣らず歌とダンスに邁進した。今でも時間に余裕ができれば練習をする。周りの人がウルサイと言うくらいに。今は授賞式の準備で忙しいけど、来年からダンスの練習をもっと一生懸命する考えだ。公演を演出しているシム・ジェウォン兄が、表現力があるからダンスを基礎からきっちり習ってみるのはどうだと勧めてくれたんだ。



_全く休まないんだね

ベッキョン:ライブでファンが僕達の歌を一緒に歌ってくれるのを聴くとじっとしてはいられない。EEXO-Lに”EXOファンとしての誇り”を感じさせてあげるには練習を止めてはいけない。長い間待って僕達の歌を聴いてライブにも足を運んでくれる人たちではないか。このありがたみに報いることができる唯一の方法だ。



_それはあまりにも教科書的な回答じゃない?

ベッキョン:僕は欲が多い。カムバックのコンセプトを決める瞬間から興奮し始める。このメッセージをどうやって格好よく伝えるか。それからファンはこれをどう受け取り聴くのかという期待が大きい。その期待に報いるためには一生懸命にするしかない。これが最善だ。いや、唯一の方法だ。♥





〔 訳:xiu0348


-宇宙からやって来たひとたちのお言葉記録-

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